あれこれ 2017/08/29 赤いコートの少女。物語の終わり。 ーユリヤ・リプニツカヤの選手生活からの引退ー

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2017/08/29 赤いコートの少女。物語の終わり。 ーユリヤ・リプニツカヤの選手生活からの引退ー

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2017/08/29 赤いコートの少女。物語の終わり。

====一部抜粋====

(エレーナ・ヴァイツェホフスカヤ)
ユーリヤ・リプニーツカヤがもう氷に戻って来ないだろうということは、既に5ヶ月前に、イスラエルのクリニックで約3ヶ月の治療の後モスクワに戻り、練習を再開しようともしなかった時に、噂され始めた。ただ彼女はその時、メディアと話をする用意が無かった:医師たちの判定は、リプニーツカヤが完全に身につけた唯一の専門性を彼女から奪い、身体的負荷の停止により著しく体重が増加はしたものの、次に何をやれば良いのかのおおよその考えさえも無かったのだから。

しかし、最も困難なことは、おそらく別にあった:ソチオリンピック後の2年の間にリプニーツカヤは、女子シングルスケートの、本質的意味での中心人物ではなくなっていた。かつてイリーナ・スルーツカヤがそうであったように、彼女がロシアのなかで唯一の選手であったなら、オリンピックの後ほとんどすぐに氷の外で彼女に起こり始めた問題への関心も、違っていたかもしれない可能性は十分にあった。だってもしそれをはっきり言うとすれば、ユーリャはオリンピック前の全てのものに対して、自分の健康に報いを受けたのだから。何よりも、肉体的成長を抑制するという最も過酷な方法に対する報いを。

(オリンピック前に)少女がサプリメント「スクイーズ」を一年以上摂取していたことは秘密ではなかった。このことについてユーリャ自身がインタビューで幾度となく話していたことは皆知っていた。しかし当時、結果は成長を続けていた。つまり、心配する理由は何も無かった。まして彼女の隣には、常に彼女のコーチと母親が付いていた — オリンピック表彰台の一番高いところにいるリプニーツカヤを見る願いにとりつかれた二人の大人の女性が。

ただ、オリンピックが終わった直後から、全てが、最も予測される形では展開しなかった。コーチの注目は別の選手たちに移った。遥かに将来性があり、問題のある「スター」程には気まぐれでない選手たちに。フィギュアスケート連盟の関心も — 同様だった。リプニーツカヤは、本当に誰にも必要ではなくなった。

ユーリャに、彼女の生活の管理を引き受けてくれる人々が現れたことは幸運だったと言えるが、別の見方も出来る:モスクワからソチへ退去したことは、恒常的母親の管理と氷上での厳しい競争という環境下でなれ親しんだものから最終的に彼女を隔離した一方で、損なった健康と精神の回復の問題は、深化し続けたようだった。リプニーツカヤの人生のソチの時期が、緊急入院によって終了したのであれば、それ以外の判断をするのは難しいのはお分かりいただけるだろう。

この全ての悲しい物語 — これは本質的に、唯一の疑問への回答を探すことだ:リプニーツカヤが達成出来なかったオリンピック個人種目での勝利は、若い少女、実質的に子供が、頂上に登ろうとする道の途上で自らに引き受けたような犠牲に価するものなのだろうか? 自分のものですらなく、何よりも母親の目標を達成するためには、あまりにも高い支払いなのではないか?

これらの問題をユーリャは、一度ならず自分に問いかけたことは十分にあり得る。もしかしたら、沈黙の数ヶ月の間に、競技スポーツから、何が何でも上を目指す必要性から、常に誰かと比べられる人生から完全に解放されたのかもしれない。

しかし、私には何故か、この時はまだ訪れていないと感じられる:そうでなかったら、この神経質な病的な潜伏と、誰かとの交流の拒否はないだろう。だって自分の生徒がもう決してトレーニングに戻らないことを他人よりも早くに知っていた、リプニーツカヤのかつてのコーチ、オリンピックチャンピオンのアレクセイ・ウルマーノフでさえ、頑固に沈黙を保ち、四カ月余の期間、全く同じことばを繰り返していたのだから:『ユーリャが話したくなったら、彼女が自分でこのことを話すだろう』と。

現在、彼女の現役引退の報道は、もうニュースでもないかのようだ。それがオリンピックシーズン開始と重なったことで、まるで不条理劇にも見える。今、オリンピック3枠を巡ってお互いに血みどろの戦いをしようとしている、遥かに技術的で貪欲な選手たちの一群が存在し、運良く出場出来た者たちは、ピョンチャンオリンピックでこの戦いを続けようとしている時に、昔のオリンピック女王には誰も関心が無い。

赤いコートを着た、世界に愛された少女が、今度は何に取り組むのかという問題が、もし誰かにとって現実的であるとするなら、それはユーリャ自身にとってだけだろう。彼女以外のフィギュアスケートに限った世界にとっては、エヴゲーニヤ・メドヴェージェワの振付師イリヤ・アヴェルブーフが今回彼女に作ったプログラムを背景に、ロシア国内の他の誰が二度の世界女王と戦うことが出来るのか、15歳の奇跡の少女アリーナ・ザギートワが、最初のシニアシーズンの戦いに勝利出来るのかどうかを見ることの方が遥かに面白い。

そして、もし彼女たちのうちの誰かがリプニーツカヤの運命を繰り返すことになったとしても、今誰がそれを憂うだろうか?

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