楽天市場 あれこれ 2022/03/21 asappo:「戦争のプロパガンダのためのフィギュアスケートなんて ― ロシアのクリミア記念集会・コンサートをめぐって ― 
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2022/03/21 asappo:「戦争のプロパガンダのためのフィギュアスケートなんて ― ロシアのクリミア記念集会・コンサートをめぐって ― 

2022/03/21 asappo:「戦争のプロパガンダのためのフィギュアスケートなんて ― ロシアのクリミア記念集会・コンサートをめぐって ― 

当ブログを訪れてくださってありがとうございます。
当ブログの筆者asappoはこれまで、アスリートはどのような人格、立場、性格であろうと氷上の演技が全てだと考え、氷の外での言動にはあまり興味も感じずにやって来ました。

しかし、ロシアがウクライナを侵略し無差別爆撃を行い、何百人、何千人もの市民、子供たちが犠牲になっている最中の3月18日に、モスクワのルジニキスタジアムで行われたクリミア併合8周年記念集会・コンサートに、Zマークを付けたフィギュアスケーターたちが笑顔で出演しているのを見て、何か大国主義の無神経さを感じ、人間の悲しみへの想像力が欠けているのではないかと思ってしまった次第です。

この集会の正式名称は、「クリミア記念集会・コンサート《ナチズムのない世界のために! ロシアのために! 大統領のために!》」というものでした。つまり、ウクライナで「特殊作戦」を展開しているのはナチズムのない世界のためだという理屈です。ロシア語で「~のために」、「~に賛成」という時、За(ザ)という前置詞を使いますが、この集会のスローガンでは、わざわざ英語のアルファベットでZaと3回使っています。このZの文字が、「特殊作戦」賛成、ロシアに賛成、大統領に賛成のシンボルになっているのです。

この集会には9万5千人がスタジアムで参加し、スタジアムの外には10万人以上が詰めかけたとロシア内務省モスクワ総局が発表しましたが、実際にはどうだったのか誰も確かめる術はありません。この催しは最低でも19の種々のチャンネルが中継し、ロシア国民の愛国主義を煽りました。今やプーチンの支持率は大幅に上昇し、70パーセントを超えたとかとか言われていますが、本当はどうなのか、誰も確かめる術はありません。プーチンはこれまでも支持率が下がる度に、どこかに侵攻したり、テロリストが集合住宅を、地下鉄駅を爆破したとか不可解な事件が起こり、痛ましい犠牲者が出ると愛国心と危機意識を煽り、その度に支持率を上げるのに成功してきました。今回の集会も自然に市民が集まったものではなく、完全に組織されたものだったことは、あの統一感を見れば疑いようもありません。インターネットの書き込みや「いいね」の数などを見ても、今回の集会への批判、「特殊作戦」への懐疑、アスリートの政治活動への皮肉などが実際にはかなり多いという印象を受けます。批判が肯定の2倍もあるサイトもありました。

さて、今回の集会に出演をしたフィギュアスケーターは、ペアのエヴゲーニヤ・タラーソワ/ウラジーミル・モローゾフ組とアイスダンスのヴィクトーリヤ・シニーツィナ/ニキータ・カツァラーポフ組でした。もしかしたら、コーチのアレクサンドル・ジューリンやエテリ・トゥトベリーゼの意向だったのかもしれません。しかし、ウクライナへの侵略戦争を肯定する、非常に冷酷な政治的活動をしたことは事実です。彼らの笑顔は、情感豊かなものと言えるのでしょうか?

そしてフィギュアスケート関係者で集会に駆け付けたのは、アデリーナ・ソートニコワとエヴゲーニー・プリューシェンコでした。プリューシェンコは会場で次のように発言しています。
https://t.me/shot_shot/36480

「(北京パラリンピックからロシアのパラリンピアンたちを排除するという国際パラリンピック委員会の決定は)これは畜生の行いというほか無い。これをやった人たちは、人でなしだ! こんなことがもう、二回連続してオリンピックで起こっている。
次のパラリンピックと、もちろん、オリンピックが行われ、国旗、国歌と共にわれわれを出場させるよう願っている。私はそれを信じている。 私は信じている。

私には、ドネツク共和国(訳注:ウクライナ内の親ロシア派反政府組織が、「独立」を宣言している)に行って、無料のショーをやるという大きな願いがある」。


プリューシェンコのプーチン支持は一貫しており、今に始まったことではありません。2018年1~3月に、ロシア中央選挙委員会は、「ウラジーミル・プーチンの代理人」(Доверенные лица Владимир Путина)のリストというものを発表しました。2018年にあった大統領選挙の事前運動で、集会や話し合いの場でプーチンの代理人として議論に参加したり、説得したりする人を選挙委員会が公にしたのです。

リストには500人弱の代理人の氏名、職業などが記載されています。フィギュアスケート関係では、エヴゲーニー・プリューシェンコ、タチヤーナ・タラーソワ、タマーラ・モスクヴィナ、タチヤーナ・ナフカ、エレーナ・チャイコフスカヤが含まれていました。大統領府のペスコフ報道官の妻でもあるタチヤーナ・ナフカは、もちろん、プーチンを擁護する言動を一貫して行っています。ついでですが、ピョンチャンオリンピックで金メダルを獲ったアリーナ・ザギートワは、この四年間ずっとナフカと一緒にショーを続け、プーチンに寄り添ったメッセージを発信し続けていましたが、ここに来てピタリとそれを止め、日本のファンを意識してか、ファッションと秋田犬の写真公開がメインの発信になりました。ビジネス上手だと思います。一方でプリューシェンコは、言ってみれば単純で、愚直にプーチンの代理人の仕事を一貫して遂行し続けているとも言えるでしょう。しかし、家を焼かれ、不条理にも家族を奪われ、悲しみにくれるウクライナの市民たちを一顧だにせず、フィギュアスケートのショーでプーチンの侵略を助けたいというのは、フィギュアスケートの政治利用そのものでしょう。こんな風にフィギュアスケートを使って良いものでしょうか? まして、プリューシェンコという苗字は、ご先祖がウクライナ由来であることを物語っているのに。

このブログはプーチン大統領のプロパガンダに加担するつもりはありませんので、フィギュアスケートに関する記事の翻訳はもう、ほんとうに稀になると思います。羽生結弦選手のフリープログラム「天と地と」の中にスプレッドイーグルをしながら、静かな心で広い空を仰ぎ見るような振付がありますが、私にはいつもそこで彼の衣装の色のような、どこまでも広がる青空が見えます。ウクライナの人々の頭上に、全世界の人々の頭上に、爆撃やミサイルの無い平和な静かな青空が広がることを本当に心から願っています。

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コメント

ありがとうございます。

大会の様子を伝えてくださりありがとうございます。

ロシアのウクライナ侵攻以降、これまでファンだったロシアのスケーターたちを見る目も前と同じでいられるはずもなく、ロシア語がわからないのももどかしい思いをしております。
プルシェンコのインスタは耐えきれずフォローを外してしまいました。

ロステレで何回かロシアに行った経験ごあるだけでも落胆が大きいのに、ブログ主さまはなおさらの事と思います。お慰めする言葉もありませんが、これまでありがとうございました。
  1. 2022/04/05(火) 21:38:31 |
  2. URL |
  3. #-
  4. [ 編集 ]

これまで本当にありがとうございました

こちらこそ本当にありがとうございました。今までここを訪れてくださった皆様お一人お一人にも深く感謝申し上げます。

改めて考えて見ますと、フィギュアスケートに関する記事の翻訳を何年もやって来ましたが、お金も文化も集中しているモスクワに住んでいる、狭い範囲の人たちの話題ばかりだった気がします。首都ですから中央政府とも直結していますし、ロシアの国境地帯など、自分たちとは関係のない遠い辺境の話だと感じるのでしょう。ましてやウクライナなどと。むしろ、フィギュアファンたちのコメントの方が情勢を良く把握しています。彼らはネットからブチャの通りに転がる一般市民の死体のこと、衛星写真のことなど良く把握しています。

これからは少し、モスクワから遠く離れた地方や周辺国の人々に目を向けてみるつもりです。

ということでフィギュアスケートファンの皆様とはここで一区切りのお別れとなります。
長い間本当にありがとうございました。皆さまのご健康とご多幸を陰ながらお祈り申し上げております。
asappo
  1. 2022/04/07(木) 15:59:58 |
  2. URL |
  3. asappo #-
  4. [ 編集 ]

asappo様

ご返信ありがとうございます。
テーマは変わってもブログは続けられるとのこと、嬉しく読みました。

モスクワ中心だったとのお話、去年ロステレに行く準備をした時に、国境付近のきな臭さに驚いたことを思い出しました。観戦のついでにソチから近いジョージア、アルメニアを陸路で回って観光できないかと軽く調べたのですが、その時点でほぼ不可能でした(大回りするか空路か船)。今思えば何も知ろうともしていなかったことを痛感しています。

新参でもなくなってきたのですが、良きスケートファンというのが未だによくわからず、適当なロールモデルもなく、途方にくれたとき、こちらの、
2019/02/06 ポリーナ・シェレペーン「日本の観客の前で滑る機会を持てるようなレベルに達するようにと、選手たちに言う」
の記事を時々読み返しにきております。

あまり筆まめでないのでコメントはこれが最後になるかもしれませんが、また、お邪魔いたします。ありがとうございました。どうぞお元気で。
  1. 2022/04/17(日) 10:41:15 |
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